更新日 | 2022年5月18日 |
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業務分野 | 通商 |

【特設】ロシア・ウクライナ情勢最新情報
2022年2月24日、ロシアがウクライナに対して軍事的に侵攻したことに関して、同月26日、日本政府はEUその他諸国と協調し、ロシアに対する経済制裁を実施しました。日本政府は、その後も追加的な制裁措置を実施しております。
制裁内容の概要は、以下のとおりです。
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資産凍結等の措置の概要(2022年5月13日更新)
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輸出関連の措置の概要(2022年5月13日更新)
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輸入関連の措置の概要(2022年5月13日更新)
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証券の発行・流通に関する措置の概要(2022年5月13日更新)
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ロシア向け投資、長期貸付等の禁止措置(2022年5月13日更新)
詳細は、以下ニュースレターをご参照ください。
ロシア・ウクライナ情勢に関するQ&A
A. 個別の契約の条件によりますが、基本的に外国による対ロシア制裁はロシア国内の法令との関係で考慮されませんので、2022年4月7日現在、ロシアにおいて外国制裁を義務の免除の理由とできる可能性は低いように思われます。一方で、ロシアでは、外国制裁の影響により義務が履行できなくなった場合に免責したり、契約の解除を認めるなどを内容とする改正法案が国会(下院)に提出されています。法案では、かかる免責や契約解除の可能性は、「外国制裁に寄与した者」には適用されないとされており、今後の審議や実務において「外国制裁に寄与した者」の範囲がどのように設定されるのか注意を要します。
A. 個別の契約の条件にもよりますが、上記と同様に、外国による対ロシア制裁はロシア国内の法令との関係で考慮されず、また、不可抗力の内容はロシア法に基づき解釈されるため、2022年4月7日現在、外国制裁を理由に契約を解除することは難しい可能性が高いように思われます。この点、上記の改正法案にも留意が必要です。
A. 既に法案としては発表済みですが、2022年4月7日現在、国会(下院)にはまだ提出されていない状況です。今後成立するか否かは不透明ですが、状況につき注視する必要があります。なお、現時点で発表されている法案の内容では、一定の規模の外国企業が事業を放棄するような対応を取った際に、裁判所の決定により外部の管財人による管理下に置かれ、当該企業の事業を別の投資家に売却する等の措置を取ること可能にするものとなっています。
この法案も含め、ロシアでは、海外の制裁に対抗する措置の導入が議論され、日々状況が変化していますので、注意を要します。
【日本】経済安全保障法案に関する最新動向
米中の貿易紛争に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大、ロシアによるウクライナ侵攻等を受け、各国で経済安全保障に対する関心が一層高まる中、日本では、2022年5月11日、「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」、いわゆる経済安全保障法が今国会で成立し、その内容や実務上の影響にも大きな注目が集まっています。
詳細は、5月18日付け「法務が知っておくべき経済安全保障の最新動向と実務第1回 経済安全保障推進法案の影響度と実務対応」(BUSINESS LAWYERS)及び3月22日付け経済安全保障・通商ニュースレター「経済安全保障法案の概要」をご覧ください(英語版はこちら)。
当事務所における経済安全保障・通商プラクティス


当事務所では「経済安全保障・通商プラクティス・グループ」を立ちあげ、国内外の事業会社・金融機関・商社等や、政府系機関等に対して、経済安全保障、通商に関連する幅広いサービスを提供しています。
経済安全保障の分野は、めまぐるしく変わる最新の国際情勢をふまえて、分野・法域横断的な幅広い対応力が求められる新領域です。当事務所は、開設以来培ってきた豊かな国際性と事務所内外のシームレスな連携による即応性を背景として、ニーズや状況に即したリーガルサービスを提供しています。特に、日本、米国、中国、EU、ロシアなど各国における外資規制や直接投資規制、安全保障貿易管理規制、経済制裁、サプライチェーン、サイバーセキュリティ、ビジネスと人権、政府関係取引などにかかる調査、分析、戦略的アドバイスについては豊富な実績を有しています。
また、通商の分野では、日本企業が直面するクロスボーダー・ビジネスの課題を解決するためのツールとしてWTO協定及び経済連携協定その他のルールを用いる重要性が増しています。当事務所は、豊富な国際的ネットワークを背景としてこれら国際通商ルールおよび各国の通商規制の調査・分析・政策提言、日本、米国、中国、インド等におけるアンチダンピング、相殺関税、セーフガード等の調査対応、公共調達規制にかかる法的助言、投資受入国における公正衡平待遇義務違反・収用等への対抗措置としての投資仲裁、投資規制、税関・輸出入管理、通商規制に関する助言および代理業務などを提供しています。
当事務所がこの分野で取り扱う業務の例を以下ご紹介いたします。
経済安全保障プラクティス
1. 日本の経済安全保障法制に関するアドバイス
2. 安全保障的観点からの投資規制の調査、投資に関する手続の遂行
- 日本外為法に関する投資規制調査及び手続対応
- 米国CFIUS等に対する手続対応
- 同種の欧州、中国等の主要国家に対する手続対応
3. 経済制裁に関する調査、制裁によるリスク評価及びアプローチの検討
- 米国や欧州による経済制裁に関する調査及び対応
- 中国による措置に関する調査及び対応
- 対ロシア等の経済制裁に関するアドバイス
4. 人権・リスクガバナンス
- 人権に関わる基本方針、社内規程等の策定
- 人権に関わるDD対応
- サプライチェーンにおける人権リスクマネジメント対応の支援
5. 輸出管理に関わる調査及び対応
- 輸出管理に関わる社内規則の策定
- 外為法違反事案の対応・社内調査
- 米中の輸出管理法制に関わる助言・リスク対応策の策定
6. 知財・技術管理
- 秘密特許に関わる助言、先端技術の管理に関わる助言
- 知財に関わる各種社内規則の策定
- 営業秘密の窃取、漏えい事件に対する対応
7. 安全保障的観点からの契約関連業務
- 安全保障的観点からの契約でのリスク管理
- 経済制裁等により契約先や契約内容の変更が必要となる際のアドバイス
8. サイバー・データセキュリティ
- 主要国の規制の調査及び対応
- サイバーセキュリティ及びデータの取り扱いに関する社内規程等の策定
- 個人情報保護に関する社内規程・プライバシーポリシー等の策定
- サイバー攻撃に遭った場合の対応支援
9. 防衛関連ビジネス支援
通商プラクティス
1. WTO協定、経済連携協定等
- 規制調査と問題解決
- 政府当局へのアプローチ
2. アンチダンピング調査・相殺関税調査・セーフガード調査対応
- 外国政府(中国、インド、米国その他)による日本企業・産業を代理した調査対応
- 日本の産業を代表した日本での申立業務
3. 投資協定・投資協定仲裁
- 投資協定・投資協定仲裁の利用に関するアドバイス
- 投資受入国に対する投資仲裁の申立・対応業務
4. 官庁からの各種受託業務
- 投資協定・投資協定仲裁の利用に関するアドバイス
- 投資受入国に対する投資仲裁の申立・対応業務
関連する著書・論文・セミナー等
- 【セミナー】グレーターチャイナセミナー第12回(メインランド)「中国の最近の処罰事例から学ぶ中国当局の考え方①(対米制裁、地図・歴史問題、父権主義強化)」(アンダーソン・毛利・友常法律事務所 2022年2月)
- 【特集】サステナビリティ法務 【第2回】中川教授とビジネスと人権について考える(東京大学名誉教授/当事務所客員弁護士・中川淳司×パートナー弁護士・龍野滋幹)(2022年2月)
- 【論文】経団連「経済安全保障法制に関する意見―有識者会議提言を踏まえて―」を公表(商事法務 商事法務ポータル 2022年2月)
- 【論文】有識者会議による経済安全保障法制に関する提言骨子の公表(商事法務 商事法務ポータル 2022年2月)
- 【メディア】データ越境移転規制の最新動向[第7回]香港(Business & Law 合同会社 Business & Lawウェブサイト 2022年1月)
- 【メディア】経産省、日本企業のサプライチェーンにおける人権に関する取組状況のアンケート調査結果を公表(株式会社商事法務 商事法務ポータル 2021年12月)
- 【論文】WTOの紛争解決機関の機能不全の危機と今後の見通し - 海外紛争解決トレンド(21)(一般社団法人日本商事仲裁協会 JCAジャーナル 2021年11月)
- 【論文】中国の外国法律措置不当域外適用阻止弁法により高まる米中経済安全保障上の法的リスク分析(一般社団法人国際商事法研究所 国際商事法務 Vol.49 No.7 2021年7月)