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電子署名の活用によるデジタル化の課題と解決策
特集 2021年9月

電子署名の活用によるデジタル化の課題と解決策

2021年9月
更新日 2021年9月17日
業務分野 コーポレート

執筆者 宮川 賢司

2020年以降の新型コロナウィルス感染症対策としての在宅勤務の広がりを踏まえ、デジタル化の要請がかつてないほどに高まっています。デジタル化は、契約その他の社外文書のみならず、取締役会議事録等の社内文書、行政手続まで幅広く進んでおり、これらの書面や手続をデジタル化した場合の押印の代替手段としての電子署名が注目されています。当事務所では、最新の法令改正等を踏まえた対応につき、実践的なアドバイスを提供しております。

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電子署名に関するQ&A

A. 電子署名及び認証業務に関する法律(以下「電子署名法」という。)2条により「電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、

  • ①当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること
  • ②当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること
の要件のいずれにも該当するもの」をいうと定義されています。

A. 電子署名法等における正式な定義はありませんが、「契約当事者の指示に基づき、電子署名業者の署名鍵により暗号化等を行う電子署名サービスであり、クラウドサービス上で電子署名の管理及び電子署名の付与を行うタイプ」をいうと理解されています。企業法務において利用される電子署名の多くは、このタイプとなっています。

A. 民事訴訟における文書の証拠力は、以下の2つの問題に分けられます。

  • ①形式的証拠力は、文書の作成名義人により真に作成されたか否かという問題です
  • ②実質的証拠力は、当該文書が事実の認定にどこまで役立つかの問題です
電子署名を用いて作成される電子契約等においても、上記証拠力を確保することが必要となります。

A. 2020年7月17日に法務省等が公表した電子署名法第2条に関するQ&A (2条Q&A)の要件を充足する事業者型電子署名(2条電子署名)であれば、いわゆる認印レベルの証拠力は認められると考えられます。
2条Q&A

更に、2020年9月4日に法務省等が公表した電子署名法第3条についてのQ&A(3条Q&A)が提示する「固有性の要件」を充足する事業者型電子署名(3条電子署名)であれば、いわゆる実印レベルの証拠力が認められる場合もあると考えられます。
3条Q&A

企業としては、各契約のリスクレベルに応じて、2条電子署名と3条電子署名を使い分けることが考えられます。

A. 例えば、

  • ①相手方企業において電子署名を行う者が相手方企業を代理する権限を有しているか
  • ②当該契約のリスクレベルに応じた電子署名が選択されているか
等に留意する必要があります。

A. 近時被害が増えているサイバー攻撃等への対策、相手方企業がデジタル化に未対応の場合の対策(紙の契約書と電子契約の併用)等が課題と考えられますが、いずれも適切な対策を実施することにより課題は克服可能であると考えられます。

A. 2020年後半の押印廃止の流れを受けて、電子政府(e-Gov)の利便性が向上しており、行政手続デジタル化は加速度的に進んでいます。
電子政府の総合窓口

また、民事訴訟手続については、2021年2月19日、法務省が「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案」および「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案の補足説明」を公表しており、司法手続のデジタル化に関する議論も進んでいます。
「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案」
「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案の補足説明」