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「働き方改革」関連法について
特集 2019年2月

「働き方改革」関連法について

2019年2月
更新日 2019年2月15日
業務分野 人事・労務

2018年7月6日に働き方改革関連法が制定・公布され、その内容を具体化する省令・指針も出そろってきました。働き方改革関連法は、2019年4月1日以降、段階的に施行されます。


働き方改革関連法は、 Ⅰ 働き方改革の総合的かつ継続的な推進のための雇用対策法の改正、 Ⅱ 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等のための労働基準法、安全衛生法及び労働時間等設定改善法の改正、Ⅲ 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保のためのパートタイム労働法の改正(パートタイム・有期雇用労働法)、労働契約法及び労働者派遣法の改正を含みますが、本稿では、主に上記Ⅱに関して2019年4月1日に施行される内容について、使用者において対応が必要となる事項を中心にご紹介します。

1.労働基準法

(1)時間外労働の上限規制(中小企業については2020年4月1日以降)
労働基準法の下では、法定労働時間を1日8時間、週40時間以内とし(労働基準法32条)、週1日又は4週4日の法定休日を確保しなければなりませんが(労働基準法35条)、時間外労働・休日労働に関する協定(以下「36協定」といいます。)が締結され労働基準監督署への届出があった場合には、同協定に基づいて法定労働時間外又は法定休日労働をさせることができることとなっています。従前、平成10年12月28日労働省告示154号において、36協定で定めることができる時間外労働の限度時間の基準が定められていたものの、この告示には強制力はないものと考えられてきましたが、今回の労働基準法改正により、以下のとおり、時間外労働に法律上の上限規制が課せられることとなります。


原則)時間外労働 45時間/月、360時間/年(労働基準法36条3、4項)
例外)36協定で定めることが可能な上限時間:単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)、720時間/年(労働基準法36条6項))の範囲内
1ヶ月の時間外労働時間の限度時間を超えることができる月数:6ヶ月以内(労働基準法36条1項、5項)

上限時間の規制に違反した場合には6ヶ月の懲役又は30万円以下の罰金の対象となります(労労働基準法119条1号)。


適用開始日:
・大企業:2019年4月1日以降の期間のみを定める新しい36協定の適用開始から
・中小企業:2020年4月1日以降の期間のみを定める新しい36協定の適用開始から


<ご参考>
「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

(2)年次有給休暇の時季指定義務

使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、毎年5日、時季を指定して与えなければなりません(労働基準法39条7項)(労働者の時季指定や計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については指定の必要はありません(同条8項)。)。年次有給休暇の時季指定義務については、「休暇」に関する事項に該当しますので、就業規則の年次有給休暇の規定において明記すべきと考えられます(労働基準法89条1号)。年次有給休暇の時季指定義務に違反した場合には30万円以下の罰金の対象となります(労働基準法120条1号)。


<ご参考>
「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

(3)フレックスタイム制の清算期間の延長

フレックスタイム制の「清算期間」の上限が1か月から3か月に延長されました(労働基準法32条の3、32条の3の2)。


(4)高度プロフェッショナル制度

職務の範囲が明確で一定の年収(1,075万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識等を必要とし、かつ従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務(具体的には、金融商品開発、金融ディーラー、アナリスト、コンサルタント、研究開発の5業種)に従事する場合、年間104日の休日を確実に取得させること等の健康確保措置を講じることや本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定の適用を除外する制度です(労働基準法41条の2)。また、制度の対象者について、在社時間等が一定時間(休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間について1月あたり100時間)を超える場合には、事業主は、その者に必ず医師による面接指導を受けさせなければなりません(労働安全衛生法66条の8の4第1項。これに違反した場合には50万円以下の罰金の対象となります(労働安全衛生法120条1号))。


(5)労働条件の明示の方法

労働基準施行規則5条4項が改正され、労働条件明示の方法として、書面交付の方法のほか、労働者が希望した場合には、①ファクシミリの送信、②印刷可能な電子メール等の送信による明示も認められることになります。


2.安全衛生法


・労働時間の状況をタイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法(3年間保存)により把握しなければなりません(法66条の8の3。安全衛生規則52条の7の3)。
・産業医の選任義務のある労働者数50人以上の事業場においては、事業者は、事業者は、産業医に対し産業保健業務を適切に行うために必要な情報を提供しなければなりません(法13条4項、安全衛生規則14条の2)。また、衛生委員会に対し、産業医が行った労働者の健康管理等に関する勧告の内容等を報告しなければなりません(法13条5、6項、安全衛生規則14条の3)。




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<外部リンク>
厚生労働省「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(新旧対照条文)
https://www.mhlw.go.jp/content/000307766.pdf

当該分野に精通する弁護士等