日本企業のアジア/新興国への進出は今日に始まったことではありません。アンダーソン・毛利・友常法律事務所では、1950年代の設立以来、日本企業のアジアを初めとする新興国への進出をさまざまな形でサポートして参りました。しかし、近年の日本企業の新興国進出は、これまでとは異なる様相と呈しています。即ち、①進出案件の絶対量が増えている、②複数の法域をまたぐM&Aその他の資本取引が増加している、③各国域の法制の整備が急速に進んでいて、ハーモナイゼーションが進みつつある一方で、複雑化してきている、④世界的なコンプライアンス強化の要請に従い、法の重畳的な適用に配慮する必要が出てきている、⑤単純な直接投資案件のみならず、新興国の資本市場における資金調達等も増加している、といった特徴が挙げられます。 このような特徴を持つアジア/新興国関連の案件における日本企業の需要に応えるために、当事務所では次のような体制を整えております。
アジア/新興国の多くの法域には、既に確立したプラクティスを有する優秀な法律事務所が複数存在します。当事務所では、アジア/新興国の現地法律事務所と長期間にわたる協働関係を確立しており、各法域の複数の優秀な法律事務所と人材交流を活発に行うことにより、それらの法律事務所における各分野のスペシャリストと同僚同様のシームレスな連携を行なっています。
アジア/新興国の各法域の法制度に関する専門性を高めるため、多くの弁護士が各法域におけるプラクティスを行なっています。そのほか、各法域の弁護士を積極的に採用し、アジア/新興国の主要な法域における基本的な問題については、東京事務所で対処することを可能としています。また、直接投資に関する合弁契約、株式取得契約のみならず、プロジェクト・ファイナンスのようなドキュメンテーションワークの多い業務にも当然に対応できるよう、英語を母国語とする豊富な外国弁護士も、業務に積極的に関与しています。
- アジア/新興国へのグリーンフィールド投資(新規進出)
現地に工場・販売会社等を単独出資又は合弁で設立する案件を指します。最も典型的でかつご相談の多い案件です。この場合、まず重要なのは、(i)外資参入規制(業種による参入規制)の有無の確認、(ii)手続き(許認可、届出等の有無、難易度、所要時間等)の確認、(iii)主要な規制(現地スタッフないし一定の民族の雇用強制等)の確認、等です。一口にアジア/新興国といっても、いわゆる英米法系の法域もあれば大陸法系の法域もあります。また、外資規制等も区々です。進出先を決める前提として、アジア/新興国の複数の法域の法制や優遇税制等の比較を行うことも肝心です。
各法域における地場企業の買収/資本参加の場合の、許認可等を踏まえたスケジューリング、リーガル・デューディリジェンスの実施、買収契約等の作成、現地で必要な許認可手続きの実行等を、現地の法律事務所との協働により行います。デューディリジェンスも、(i)許認可の取得不備その他行政法規違反の有無、(ii)雇用に関する規制(書面契約締結義務遵守、現地従業員雇用義務遵守等)違反の有無、(iii)不適切なキックバックや関係会社間取引の有無、等が問題となるといった特徴があるほか、近時は贈収賄等腐敗行為が少なくない法域においては、現地法のみならず、日本法や英米の反腐敗法の適用可能性を考慮して、この観点からの入念なデューディリジェンスを行ないます。
日本企業同士のM&A、あるいは日本企業が欧米企業等を買収する場合にも、対象会社にアジア/新興国所在の拠点が含まれる場合には、それらの拠点におけるリーガル・デューディリジェンス等を一括して請け負い実施しております。
シンガポールや香港等にアジアの統括拠点を設置する企業が増えています。最近では、統括拠点として、タイやマレーシアを候補地として検討するケースも出てきています。企業の意思決定の参考に供するために、各法域の長所・短所の比較等を行います。
アジア/新興国においては、所謂インフラストラクチャーや天然資源をめぐるプロジェクト・ファイナンス案件が多数存在します。弊所においては、日本におけるPFIその他のプロジェクト・ファイナンスにおける豊富な経験を活かし、各法域におけるプロジェクト・ファイナンス案件において、各種の助言を行っています。
当事務所のキャピタルマーケッツ・プラクティスはグローバルオファリング等の分野において突出した成績を誇っており、これまでも、中国企業による香港上場時の日本における公募(いわゆるPOWL)案件において他事務所を圧倒する関与率を誇っています。近時は、香港・シンガポール、さらには台湾、韓国といった新興市場においてプライマリリスティングを行う日本企業が急速に増加しており、これらの上場案件において、発行体、引受人、証券代行等の日本法カウンセルを務めることが増えています。
アジア/新興国の企業とのクロスボーダー取引における最もポピュラーな紛争解決方法は、香港・シンガポール等における国際仲裁です。当事務所の国際仲裁を専門とする弁護士と現地弁護士との協働により、適切に解決へと導きます。
法令遵守やCSR(企業の社会的責任)を背景とする企業活動の適正化の要求は、アジア/新興国における拠点にも当然に及びます。また、近時の刑罰等の制裁を含む規定の域外適用の拡大傾向に伴い、アジア/新興国における企業活動について、当該行為地を管轄する法域の法律のみならず、日本法や、場合により米国法・英国法・EUルール等が適用される可能性が高まっています。かかる状況の中、当法律事務所では下記の業務を提供しています。
各法域の法令に準拠させた行動規範を適用し、必要に応じて、その内容を現地スタッフに普及させるためのさまざまな施策(教材の作成や現地スタッフ向けのセミナーの実施等)を行います。国外法が適用される分野(特に、競争法(独占禁止法)や反腐敗法(贈賄等)分野)については、そのための特別なプログラムを各法域において組んでおります。
各国の実情に合わせた内部通報制度の設計と実施のためのルール作り等を行っております。
競争法(独禁法)におけるリニエンシー制度のように、主要国で同時に、かつ秘密裏に作業を進めなければならない手続きへの対応や、各国において行われる捜査/調査手続きへの対応はもとより、駐在員が現地において不幸にして身柄拘束された場合の対応等、現地において急を要する対応が必要となった場合にも、現地に赴き又は豊富なデータベースから適切な現地弁護士を選定し、迅速に善後策を検討いたします。